三浦半島のライトルアーフィッシング

逗子を拠点とするアングラーの、三浦半島ライトルアーフィッシング(メバル・アジ・カサゴ等)ブログです。

海外のタックル

海外で暮らすとひしひしと感じるが、シマノ、ダイワ等を筆頭に、日本メーカーの製造する釣り道具は、世界的に高品質であるとの評価を得ている。メジャークラフト等の、国内では比較的リーズナブルな価格帯に位置するメーカーの製品でさえも、海外(例えば欧州)では十分高級なものであると認識されていると感じる。

つまり、日本の釣り人はこういった高品質な釣具を気軽に手に入れられる点で、世界的に見ても非常に恵まれた状況にあると言える。

しかし逆に、様々な釣具についてのレビュー等をみるに、あまりに高品質な釣具に囲まれすぎた結果、場合によっては過剰に道具への要求をする傾向もありはしないだろうか?

例えば、リールを取り上げれば、実釣性能とはかけ離れたような巻心地を求めたり、わずかな飛距離や操作性の差にこだわったり、塗装など仕上げに過度に辛口であったり、といった例が見受けられる。

もちろん、バスフィッシングの本場アメリカ等のレビューを見ていても、巻心地を始めこれらの項目についての意見は存在するのだが、概してその要求水準は日本人よりも低いと感じられる。つまり、道具として実釣性能を満たしていればそれで良し、という程度の基準である。

このようにアメリカ人は性能に対してはほどほどアバウトな要求水準である一方、価格にはシビアであると感じられ、value for money (コストパフォーマンス)という表現がレビューでも非常に多く見られる。そして、例えばベイトリールを挙げると、アメリカのメーカーでは100ドル前後の価格帯のベイトリールラインナップが非常に充実しており、この価格帯がボリュームゾーンである。こういったリールは仕上げ等細かな部分では簡素さは見られるものの、実釣性能は十二分に満足いくものである。

アメリカメーカーでは例えば、アブガルシア(元来スウェーデンのメーカーだが、現在アメリカ資本傘下)、フルーガー、ルーズ、クァンタムといった有名どころがあるが、どこも同様のボリュームゾーンを有している。例えば、アブガルシアのレボxと、ルーズのスピードスプールflsは、ともに100ドル前後の、ガッツリライバル関係にあるモデルであり、アメリカでの評価も非常に高い。

そして実際、私もアブガルシア、ルーズ、クァンタムについてはこの価格帯のリールを取り寄せて使用してみたが、どれも操作性、キャスタビリティ、剛性感等において満足のいくものであった。


対して、日本の市場をみるとどうだろう。大手メーカーでは、1万円未満の入門モデルはあるが、1万円前後のラインナップは少なく、一気に2万円程度のモデルに飛んでしまう傾向にある。2万円程度のリールですら、しばしば中級機種という呼ばれ方をされ、レビュー等でも「中級機種の割には〇〇」「安い割には〇〇」といった意見がよく見られる。

個人的な意見を言えば、2万円のリールで安いという感覚は全く無いし、それどころむしろ高いとすら感じてしまう。

こういった比較からも、日本人の釣具に対する辛口な傾向が見て取れるだろう。

決してどちらが良くてどちらが悪い、という話ではなくあくまで国民性や文化の問題であろう。しかしながら、日本の閉じた市場の中で釣具を考えるだけでなく、本場アメリカ等海外にも目を向けることで、また新しい視点で釣具さらには釣りの世界を眺められるのでは、と感じるが、いかがだろうか。